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■動かしているだけで面白くしよう


 面白いゲームは、動かしているだけで面白くなっています。
 面白いゲームは、常にすることがあります。
 プレイヤーがしたいと思うことが尽きません。

 面白いゲームは、プレイヤーがなんらかの行動をすると、必ず「反応」します。
 いろんなものが反応するから、面白いのです。
 しかし、その反応を1つ1つ作っていたのでは時間コストがかかりすぎます。
 反応は、コンピュータの特性を考えて作ります。

 コンピュータは、似たような処理を一括で処理するのが得意です。
 1つアニメーションを再生する処理を作れば、その処理で炎のアニメ、火花のアニメ、風のアニメと、絵を差しかえるだけでさまざまなアニメパターンを再生できます。

 また、3Dでパーティクル(粒子)の処理がありますが、そのパーティクルの飛散方向を数値的に変えるだけで、噴水、炎、竜巻などのエフェクトが作り出せます。
 これならパーティクルの色を変えるだけなので、絵もいりません。
 根本となる抽象的な処理を1つ作れば、さまざまな処理に応用できるのがコンピュータの優れたところです。
 1度作れば使いまわしもききます。

 また、コンピュータはデータを処理するのが得意です。
 剣のアイテムがあるとします。
 攻撃力の値が違うだけ、名前が違うだけなら、1つのデータは少なくて済みます。
 1つのデータが少なくて済むということは、剣のデータを大量に用意できるということです。絵は1つ1つ用意するとなると量の問題になりますが、色違いなら、少ない量で済みます。

 このことを理解したゲームデザインで、最も有名なゲームは「ディアブロII」です。
 「ディアブロII」は、アイテムやクリーチャーを、データの組み合わせで自動生成して登場させています。
 たとえば剣のアイテムなら、名前は2つのセンテンスの組み合わせで作られており、剣の性質は攻撃力と名前から由来する何種類かの魔法属性で表わされています。
 データの組み合わせで作り出すのですから、その数は、攻撃力×属性×レア度×…と指数倍数的に存在します。
 こうして、プレイするたびに違ったアイテムを見つける楽しみが生まれます。
 アイテムは言いかえれば敵を倒したときの「反応」の1つですから、コンピュータが「反応」を生成していると言えます。

 クリーチャーに関しても、基本キャラから派生して、名前の組み合わせ×強さ×ボス格属性×色の違いと、これも指数倍数的に作り出しています。
 「ディアブロII」はこれだけにとどまらず、ダンジョンも自動生成されます。
 このおかげで、ダンジョンに潜るたびに、新たなダンジョンと新しいクリーチャーが出てくるのです。

 「ディアブロII」は、コンピュータの特性を十二分に使い、低コストでありながらしかも無限に遊べるシステムを実現しています。

 このようにコンピュータの特性を理解してゲームデザインをすれば、プレイヤーの行動に対して効率的に「反応」するゲームを作れます。


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