■コスティキャンのゲーム論

●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:
相互支援と交渉


 「相互支援」と「交渉」。


 これは非常に人の感情を刺激するキーワードです。


 あるゲームのゲームシステムに「援助」・「同盟」・「相互支援」という調
味料をふりかけてみましょう。



 パッパッパ…。

 おっ、ちょっとかけすぎだかな…。



 するとゲームはどうなるか? 「感情ゲームデザイン」的に見てみましょう。

(「感情ゲームデザイン」は、ゲームのしくみが提供する「セコンド・メソッ
ド」のコアとなる概念です)



 …おや? プレイヤーは「怒り」出しました! 「裏切り」に合ったようです。

 それから、頭の中で計算し出しましたよ? 「打算感情」でしょうか?

 その考えを読もうとする「先読み」も始まりました。


 プレイヤーは、他のプレイヤー勢力(あくまでゲームですよ)への「非難」
「脅迫」「うわさの流布」「騙し」などを始めました!


(感情をイメージできる言葉がバンバン出てきていますね)



 どうやらそうすることで、ゲームは勝利へと向かうことができるようです。



 みんな出し抜かれないよう、ドロドロとした政治的な思惑を抱いているよう
です(笑)。


 利害が一致すれば同盟を組み、もう同盟の意味がないとわかればいいタイミ
ングで裏切り!


 なんてゲームでしょう(笑)。


 しかし、これは見ている側もやっている側も先がどうなるかわかりません。

 ゲームはダイナミックに、それぞれのプレイヤーの思惑によって展開が変わっ
ていっています!!



 「相互支援」と「交渉」は、もし「勝つ」ことに非常に大きなモチベーショ
ンがあるなら、非情で冷徹な知能戦をもたらす効果があるようです。



 ある意味、なんて人間くさいゲームになったんでしょう!?


(詳しくは、「ディプロマシー」というボードゲームを調べてください。戦略
より外交が重要になるゲームです)


 通常、ゲームはゼロサム型の形式を成しています。


 ゼロサム型とは、誰かが勝てば誰かが負ける、誰かがプラスなら誰かがマイ
ナス、つまり「足せばゼロになる」型のゲームということです。


 しかし、完全な「相互支援と交渉」があるゲームは、ゼロサム型にはならず、
プラスサム型、マイナスサム型に成りえます。


 つまり、プレイヤーの同時勝利があり、また同時敗北もある形のゲームにな
るということです。


 コスティキャンは、ネットワークゲームは本質的にこの種の「交渉ゲーム」
だと言います。


 コンピュータとプレイするゲームと違い、人同士がプレイするゲームはその
「交渉」をシステムに組み入れることで、かなり面白くなると言います。


 人同士が交渉できる、今までと全く違う側面のゲームを作ったなら、それだ
けで何千億円の市場が形成できる! とうそぶくくらいです。


 現在のネットワークゲームは初期の頃と比べてだいぶ多様な種類のものが出
ていますが、交渉に関する機能はチャットやアイテム交換のインターフェイス
があるくらいで、ゲームシステムとして持ったものはほとんどないようです。


 そんな中で大きく取り上げたいのが、「人狼BBS」です。

 このゲームは狼と人間に別れ、どちらかを根絶やしにすることで勝敗を決め
るゲームですが、そのときの読み合いがなかなか面白いようです。

▼人狼BBS
http://ninjinel.x0.com/wolfc/


 今後、こういった交渉や先読みの要素がゲームシステムに組み込まれてくれ
ば、ゲームデザインは新たな段階に入っていくでしょうね。


  →ゲームを分析するときは、「プレーヤーは、いかにして互いに協力
   したり足を引っ張ったりできるか。そうさせる動機は何か。交渉のネタ
   になる資源は何か」ということを考えなければならない。


(続く)

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