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 ハマるしかけを作る! 8年目ゲームクリエイター・ムーブメント研究!
 第60回 「コスティキャンのゲーム論・解説(15)」 2005/06/13(mon)
△▲──────────────────── http://www.n2gdl.net/▲△

 ゲームのしくみの新田です。

 配信が遅れました!

 すみません、最近「個人ゲーム開発で暮らすための5ステップ」の販売準備
作業を徹夜で行なってまして、しかも昨日は私が力を入れているあるサークル
のお手伝いで、やんややんやで遅くなってバタンキューでした(笑)。


 「個人ゲーム開発で暮らすための5ステップ」は、けっこう大きなプロジェ
クトで、ゲーム業界に革新をもたらそう! という決意のもとに、販売を開始
する特別レポートです。


 ニュースレターではいくらか情報を流しましたが、詳細はおってお知らせし
ますね。

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■コスティキャンのゲーム論・解説(15)
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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:シミュレーション


 まず、シミュレーションとはなんでしょう?


 辞書で引くと、「まね、見せかけ、模擬」とあります。


 ゲームで言うと、例えばフライトシミュレーションとか、都市建設シミュレー
ションとか、ビル経営シミュレーションとか、そういう「体験」を擬似的にす
るためのものをシミュレーションといいますね。

 ただ実際は、ゲームであるがために、実際のものよりもっとはしょられ、楽
しさを感じる部分だけデフォルメされる場合が多い。


 ここには、人がゲームに求めるものと、「模擬」することそれ自体のギャッ
プがあります。


 「グランツーリスモ」などは、駆動系の計算を実際の車の構造に合わせ、画
面での挙動が現実のそれに近くなるようにしているところがある意味「ウリ」
ですが、これはゲーム的な楽しさよりも、精密な技術で作られた「デジタルガ
ジェット」(人のスタイルを表現する電子的な機械小物)としての意味合いが
強いですね。

 これは本来的な意味でのゲームとは、ちょっと違う魅力だと思います。
 しかしこれはこれでアリです。



 「シミュレートすることそのもの」が魅力になっているいい例でしょう。



●特定の世界観をシミュレートしたゲームは、ヒットすることが多い

 コスティキャンはこう言います。


「ところで、私の見るところ、なぜかワーテルローの戦いを扱ったゲームはヒ
ットすることが多いようだ。そこで、その気になれば「モノポリー」に手を入
れて、例えば「パークプレース」を「カトル・ブラ」に変え、ホテルのコマを
プラスチックの兵隊に変えて、ゲームの名前を「ワーテルロー」に変えてしま
えば、きっとヒットするゲームを作ることが出来るだろう」


 日本では「ワーテルローの戦い」がヒットするべくもないですが、こういっ
た「ヒットに繋がるシミュレート」は存在します。


 例えば、先の「グランツーリスモ」。

 それから、競馬と馬主のシミュレーションである「ダービースタリオン」。

 あとは、野球、サッカー等、スポーツもの全般がウケます。

 戦争歴史ものもウケます。三国志、戦国列伝、エイジオブエンパイア等。


 それから、指輪物語から始まったファンタジーの世界観をシミュレートした
ものも、かつて隆盛を誇っていましたね。

 中世における剣と魔法、権力階級(「王族」の存在)の世界観のシミュレー
トです。
(今は昔の成功体験を引きずりすぎているきらいがありますが…)


 それからSFですね。
 映画で大きなヒットというと、必ずSFなんですね。



 こんな感じで、ヒットする世界観には「王道」があります。

 ↑ これ、非常に大事です!!


(それぞれの世界観に細かな「ヒットのトリガー」があると私は考えています)


●シミュレートをゲームシステムに反映させる

 コスティキャンは自分がゲームデザインした「スターウォーズRPG」を作
るにあたって、ただ別のゲームの名前を変えるだけより、もっとましな方法が
ある、といっています。



「私の狙いは映画をシミュレートすることだった。プレーヤーには、すごくカッ
コいい映画的なアクションに挑戦してもらいたかった。

 そこで、私はあの映画が持っている雰囲気やノリを、ルールシステムそれ自
体に反映させるようにしたのである」



「プレイヤーには、すごくカッコいい映画的なアクションに挑戦してもらいたかっ
た!」



 これ、重要です。



 なにが重要かというと「映画的なアクションに挑戦してもらいたかった」と
いう部分。


 つまり、プレイヤーに


「なにを体験してもらうのか?」


ということです。


 なにかをシミュレートするということは、そのシミュレートするものを擬似
的に体験してもらう、ということですから、「なにを体験してもらうか?」と
いう問いが、非常に重要になってくる。



 体験には五感が伴います。

 だからその体験に伴う動きや操作をシミュレートする、雰囲気やノリをシス
テム自体に反映させることが、「疑似体験」にダイレクトにつながっていきま
す。



 私がここで思い出すのが「ゼルダの伝説〜神々のトライフォース」です。


 あのゲームには「引っぱる」という操作がありましたが、ただボタンを押せ
ば、隣にあるものを引っぱるという操作ではありませんでした。


 ちゃんと「引っぱる」という行為をシミュレートして、「ボタンを押して引っ
ぱるものをつかんでから、十字キーを引っ張りたい方向に倒す」という操作だっ
たんですね。


 それから分かりやすいのがカプコンの「鉄騎」ですね。

 雰囲気やノリが、操作機器やゲームシステムに反映されていますね。



 コスティキャンはほかにもシミュレートの有益な点について、以下のことに
言及しています。



▼シミュレートされている人物についての理解や共感を深めてくれる

 歴史ものゲームなど、シミュレートする人と同じ行動をゲーム内ですること
で、その人たちの行動理由、考えがよくわかり、結果、感情移入が促されます。


▼当時の状況について単に歴史書を読むよりもずっと深い洞察を得ることが出
来る

 ゲームは史実どおりにゲームが展開していくとは限りません。
 それが結果として「ここにこの武将がいなかったらどうなるか?」などと展
開の可能性を考えることに繋がり、歴史の裏もオモテも知り尽くすことに繋が
ります。

 コスティキャンはナポレオンのゲームをプレイして、


「ワーテルローの戦いをテーマにした本を1ダース読んでも、(ナポレオンの歴
史の理解を)ここまで達することは出来ないだろう」


 と言っています。


 プレイヤー自身がゲームの主体になることによって、物事の理解力はかなり
深まります。


 なぜかというと、映画のように客観視点でなく、主観視点で見ることは、そ
の人自身が経験(五感と思考を組み合わせた体験)をすることですから、強烈
に記憶が残るんですね。


 この点はゲームを学習につなげようという「シリアスゲーム」で大いに役立
ちそうな部分ですね。



 要点。

 単純にそのものを精巧に「真似」するのがシミュレーションにおいて大事な
のではありません。

 それはただ操作と手順が長くなり、複雑になるだけ。


 大事なのは、シミュレーションによって、


「プレイヤーがなにをどう体験するのか?」


 という点なんですね。


  →ゲームを分析するときは、「シミュレーションという要素が、この
   ゲームをどのように魅力的なものにしているのか」という点を考えなけ
   ればならない。

(続く)

コスティキャンのゲーム論はこちら。
http://www.n2gdl.net/topics/topic004/main.html


「なるほど」「よかった」の一言でもかまわないので、メルマガの感想文を書
いて送ってください。
あなたの一言が私の励みになり、よいメルマガを書こうという意欲になります。
ぜひあなたの声を聞かせてください!

 ↓ここからどうぞ↓
 http://www.n2gdl.net/reviewform/reviewform.html

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■編集後記
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 今回はちょっと長かったかな?


 「シミュレーション」には、非常に大事な部分が多く含まれていますね。
 もっと深く掘り下げて、その大事な部分を浮き彫りにしていきたいですね。


 それも含めて、今月からは、ゲームのしくみ・コンテンツ強化月間として、
ガンガンとコンテンツを作っていきますよ!


 あ、今ある「レポートセット」なんですが、近々やめるかもしれません。
(コンテンツが多くなってくると、セットにしきれないので…)

 安く買っておきたい方はお早めにどうぞ。


 ということでまた次回!

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■お客さまの喜びの声!
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OYAJI さん

どのレポートも大変参考にさせていただいておりますが、
特にためになったのが「宮本茂論」です。
現在のゲームからだんだん薄れてきてしまっていた、
「単純なのに面白い」要素が分かりやすく説明され、
目からうろこです。
次回のレポートも是非購入したいと思っております。


hasegawa さん

こんにちは、はじめまして。
ゲーム企画書の書き方 -基礎編- を購入させていただきました。
内容はというと、非常に役に立つものばかりでとてもタメになりました!
わかりやすかったのも好印象です。
このレポートを読むまでは、「(ゲーム)企画書」には難しい印象しか無かっ
たのですが、読み終えて、
『目からウロコがぼろぼろ落ちました!』
あまりに感動したので、メモ帳にポイントを書き写し、電車の中などでいつも
にらめっこしています。(笑
さて、基礎編があるということは、当然応用編を出すのですよね?
(とプレッシャーをかけてみる)
いやいや、冗談はともかくとして・・・
メルマガや他のコンテンツもとても楽しみにしています!
頑張ってください!!


小倉 さん

○印象に残ったレポート名
「ゲームプログラマの哲学」
「シンプル・プログラミング・スタイル」

○感想
 どちらもプログラムに関連する技術そのものではなく、
作業する上での考え方について書かれているのが逆に新鮮で、
他の書籍やWebサイトでは、なかなか得られない情報が
レポート化されていると感じました。
 何となく意識している事が、文章として書かれていることで、
より明確に認識することができました。
 「ゲームプログラマの哲学」では、プロ意識や仕事の質といった
仕事としてプログラムを行う上で、絶対に意識してくる事について
指摘してあり、プログラマとしての心構えを再認識させられました。

 「シンプル・プログラミング・スタイル」では、
いかに効率よく作業をしていくか、という点を、
達人プログラム環境の紹介を通して知ることができ、
非常に参考になりました。
 『nami2000』など、実際のツールを紹介しているのも、
実用的でした。

 また、“理想的なプログラムの考え方”で紹介されている理想は、
プログラマとしては、痛いほど分かっているのですが、
いつのまにか逸脱していることに、レポートを読んで改めて
実感し、その後のプログラミングでは、
“理想的なプログラムの考え方”の理想に沿うことを
強く意識するようになりました。


ハンニャ さん

「ゲーム企画書の描き方・基礎編」を購入しました。
僕は何から書いていいやらさっぱりな状態だったのですが
企画書を読む人へ印象づけることが重要だとわかりました。
これを読みながら考えをまとめていくと、自然と書きたくなります。


コミネト さん

Game Desing Tips 48を購入させていただきました。

以前に宮本茂論を購入させていただき、とても面白かったので、こちらも購入
させていただきました。
アマチュア製作者なのですが、疲れた時に読むなどして、気合に変えています。

私は特にインタラクティブ性というものに興味がありして、そのことに関する
いくつかの重要な事を指摘されていたので非常に勉強になりました。
インタラクティブ作ろうの章で、音声、視覚、触覚、これらを複合的にレスポ
ンスすることで、プレーヤーは感覚的な面白さを感じるとありますが、私もこ
れに非常に共感しまして、感覚のシンクロ感が人間の快感のスイッチではない
かと思っています、音楽にシンクロして画面が動き、文字が表示されることに
とても心地よさを感じますし、ゲームはこれに、こちらからの働きかけに対し
てのシンクロ感を提供できるという意味で優れたメディアだと思います。

それらの人間の欲望や快感などを収集分類すれば創作のヒントになるのではな
いかと考えていたのですが、やはりなかなか難しかったのですが、このGame De
sing Tips 48で沢山の指摘がされており大変参考になりました、購入してよかっ
たです。

▼ほかにもたくさんの方々から感想をいただいています!
(ありがとうありがとう!!)
http://www.n2gdl.net/voice/vioce.htm

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■ゲームのしくみ セットパッケージ情報
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 デベロッパーズセットを購入したシゲルさんより。

>印象に残ったのはズバリ全てです。どれもクオリティーが高く最高でした。


 現役のゲーム開発会社やゲーム専門学校にも買って頂いております!


 本屋には置いていない、サイトでだけ売っている情報です。
 「高密度の気づきがある!」と好評です。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist

●ゲームデザイナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論

●プランナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−

●デベロッパーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−
・プログラムの達人1〜3セット

 興味のある方は、以下のURLよりどうぞ。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist


それぞれ単品でも購入できます。
詳しくはサイトにて。

http://www.n2gdl.net/

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■これをヒントにゲームを作れ!! お薦め書籍
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 ゲーム開発で役に立つ本を紹介しています。
 以下のURLからどうぞ。

http://www.n2gdl.net/topics/topic003/index.html

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■バックナンバー
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 バックナンバーはこちらで見ることができます。

http://www.n2gdl.net/magazine/index.html

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 新しく登録して頂いた方、はじめまして。
 既に何度も読まれている方、ありがとうございます。感謝です!

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・ゲーム業界に入ってまだ日が浅いあなた
・人をハマらせるもの作りに興味のあるあなた

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心理学、NLPなどにも非常に興味がありますので、これらの「人をハマらせ
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 みなさんと一緒に紙面を作りたいと考えています。
 ご質問ご意見はお気軽に。

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