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 ハマるしかけを作る! 8年目ゲームクリエイター・ムーブメント研究!
 第61回 「コスティキャンのゲーム論・解説(16)」 2005/06/20(mon)
△▲──────────────────── http://www.n2gdl.net/▲△

 ゲームのしくみの新田です。

 すみません、またほかの作業をしていて遅れました!
 今月はやることがてんこ盛りです。


 コスティキャンのゲーム論も大詰めですね。

 今回は私が大注目した項目です。

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■コスティキャンのゲーム論・解説(16)
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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:多彩な展開


 多彩な展開に関係して、「麻雀」について少し。


 「麻雀」はポピュラーなゲームの中でトップの人気があるゲームです。


 私がゲームセンターでアルバイトしていた頃、麻雀ゲームは脱衣でなくとも
一定の売上を上げていましたし、コンシューマのゲームソフトでも麻雀は「隠
れたキラーコンテンツ」です。


 麻雀ゲームの開発技術を持っているだけで食べている会社もあります。

 私の知り合いの社長は、携帯で4人打ち麻雀を実現して、一旗上げました。


 また、麻雀はそれ専門の雑誌がいくつも出ています。ひとつのジャンルでこ
れだけメディア攻勢があるものは他にはありません。


 そして駅前にいけば雀荘が必ずと言っていいほどあります。
 麻雀ほど愛好家がおり、歴史を持っているゲームはほかにあるでしょうか?


 これほど普及し、国民の中に溶け込んでいるゲームは他にはありませんよね?



 私はそこに目をつけました。
 こりゃあすげえと。これほど好かれるゲームとはいったい?
 「麻雀」を分析すれば、普遍的な人気のあるゲームが作れるのではないか?


 なぜ「麻雀」はこれほどまでに愛好されているのか?


 その秘密が、今回の「多彩な展開」あるわけです。


●運だけで勝つことはトータルでは難しい

 コスティキャンは、経験と頭脳と実力で勝っている人が必ず勝つゲームが良
いゲームである…とはいいません。


 なぜか?


 それは運の要素があっても、優れた戦略を取っていれば高い確率で勝利でき
るからです。


 ゲームにおける運の要素、つまり「ランダム性」は、完全なランダムではな
く、ある範囲内でランダムな「揺らぎ」を作り出すだけです。


 何度もそのランダムを繰り返しているうち、確率の基本法則によってランダ
ムの平均値はある一定数に収束していきます。


 ですから運の要素は勝敗に「揺らぎ」を生み出すけれど、トータルではより
優れた戦略をとったほうが必ず勝利を手にすることになります。


 「運の要素」だけで戦略的なミスを挽回するのは無理なんですね。


 ではゲームにおいてランダム要素は重要な意味をもたらさないのか? とい
うとそうではないんです。


 ランダム要素はゲームに「多彩な展開」を生み出すという大きな役割を持つ
んです。


●多彩な展開

 何度プレイしても同じ展開になってしまうゲームは、一度しか遊べません。
(よほど好きでない限り、一度しか遊ぶ気にならない)


 アドベンチャーゲームなどはそうですね。
 また、RPGもよほどのことが無い限り、二度遊ぼうとは思いません。


 こういったゲームは軸に「物語」があり、その展開が一直線ですので仕方な
くこういうことになってしまいます。


 この一度しかプレイできない側面を持つゲームは、それをカバーするために
内容量のボリューム増加によって、クリアまでのプレイ時間の引き伸ばしが図
られているんですね。
(それによって顧客満足を図ろうというわけです)


 しかし、ゲームはこの手の「物語」を軸にしたものばかりでなく、多彩な展
開を意識的にしろ、無意識的にしろ、計画しているゲームがあります。



 それがシミュレーションゲームであったり、カードゲーム、オセロ、チェス、
囲碁、そして麻雀だったりするわけですね。


 これらのゲームは、ゲームが取りうる局面の数が極めて多く展開し、多彩に
なるような、「新鮮さを感じさせる」しくみ、ギミックが施されています。


 そのしくみが精巧で奥深いものであるほど、プレイヤーはそのゲームにのめ
り込み、何度も何度も遊び、研究し、何年もかけて楽しむことができるわけで
す。



 つまり、普遍的なゲームになりうる! ということなんですね。



 そしてそのトリガーが「ランダム要素」というわけです。



 ではどういう風にゲームを奥深くし、いつ遊んでも楽しめるようにするかと
いうと…。


 実は私はこの分野について非常に興味を持っており、もう10年以上考えて
いるので、書き出したらとてもこのメルマガでは収まりきりません。


(ゲーム業界はこの手のリジジュアル・インカムを生む種類のゲームを作るべ
きだ! とまで思っております。これはインディ・デベロッパーに向けて発信
する予定です)


 ですので、ここでは簡略化して、コスティキャンが示唆するゲームと合わせ
て「多彩な展開」を持つゲームを見ていきましょう。


▼麻雀

 トランプなどもそうなんですが、ランダムに配られてくるトークン(カード
や牌)の「組み合わせ」で「勝敗の程度」を設定したゲームデザインは、奥深
いゲームを作るための「鍵」です。


 組み合わせの難易度、欲しいトークンが出る確率、対戦時におけるその読み
合いなど、掛け算的に織り込まれたルールが、ゲームの奥深さを作り出します。


▼マジック・ザ・ギャザリング

 マジックはカードゲームです。何代にも渡ってカードの種類が更新され、未
だに「ゲーム会場」が用意され、愛好者のトーナメントリーグが行なわれてい
る、非常に息の長いゲームです。


 特筆すべきところは山ほどあるのですが、強いて言うなら


・「ルールが場に追加(アタッチ)される」ゲームシステム

・ゲームが進行すると数値的な「劇的な上がり」が表れてくること


 そして最後に

 カードの購入自体がゲームの確率的なゲーム性に影響しているという、ビジ
ネスモデルを含有したゲームデザインになっているところでしょう。


 これは書いているだけでもちょっと興奮する内容です。

 ビジネスモデルを含んだゲームデザイン、超重要です。


▼風来のシレン(ローグ)

 このメルマガの読者に「シレンジャー」はいますか?(笑)
 私も「シレンジャー」です(最近ご無沙汰ですが…)。


 マップを「自動生成」することにより、プログラムのコストを押さえ、その
ぶんゲームバランスの調整に時間をかけられるゲーム設計。

 後戻りがきかないことへの緊張。

 ランダムなアイテムの配置による先の読めない展開が、プレイをさらなる緊
張の世界へと導きます。



 ほかにも「サイバリオン」「ティル・ナ・ノーグ」「ディアブロ」「スター
クラフト」など、普遍的な要素を持っているゲームはたくさんあり、これらを
解説したい欲求にかられますが、紙面の都合もあるのでまたの機会にしたいと
思います。



  →ゲームを分析するときは、「このゲームでは、どのような展開が
   生ずるか。それらはプレーヤーが何度も試してみたくなるほど多彩で
   あるか。その多彩さを生み出す仕掛けは何か。展開をもっと多彩にする
   にはどうすればよいか」という点を考えなければならない。

(続く)

コスティキャンのゲーム論はこちら。
http://www.n2gdl.net/topics/topic004/main.html


「なるほど」「よかった」の一言でもかまわないので、メルマガの感想文を書
いて送ってください。
あなたの一言が私の励みになり、よいメルマガを書こうという意欲になります。
ぜひあなたの声を聞かせてください!

 ↓ここからどうぞ↓
 http://www.n2gdl.net/reviewform/reviewform.html

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■編集後記
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 「個人ゲーム開発で暮らすための5ステップ」、いよいよ今週の土曜日発売
になりました。


 紹介ページにたっぷり解説を盛り込んだので、まずはそれを見て欲しいんで
すが、土曜まで待ってくださいね(笑)。すみません。



 ということで今回は、数多く寄せられるメールの中から、デベロッパーズセッ
トを買っていただいた、#Loppaさんの声をご紹介します。


#Loppa さん

>はじめまして、メルマガの愛読者の一人です。

>単刀直入に感想だけ投稿させていただきます
>とにかく感動しましたー! ありがとー!
>ちょっと高いかなーと思って、今まで購入をためらっていたことを激しく後悔
>しました

>「もっと早く買っとくべきだった!」と。
>すっごく役に立ちました。

>どれも貴重なレポートなんですが、個人的には「宮本論」と「企画書の書き方」
>が一番印象に残っています。

>一番よかったのは、やっぱり「読みやすくて、わかりやすい」ってことですね。
>まさに、中学生でも理解できる文章で明確な答えが示されていたので、一気に
>読みきってから何度も読み返しました。

>次のレポートも期待しています。がんばってください!



 私からもストレートに、「買って頂いてありがとう!」。

 嬉しいです!


▼これからもお役に立つレポートを作っていきます!
http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist


 ということでまた次回!

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■お客さまの喜びの声!
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OYAJI さん

どのレポートも大変参考にさせていただいておりますが、
特にためになったのが「宮本茂論」です。
現在のゲームからだんだん薄れてきてしまっていた、
「単純なのに面白い」要素が分かりやすく説明され、
目からうろこです。
次回のレポートも是非購入したいと思っております。


hasegawa さん

こんにちは、はじめまして。
ゲーム企画書の書き方 -基礎編- を購入させていただきました。
内容はというと、非常に役に立つものばかりでとてもタメになりました!
わかりやすかったのも好印象です。
このレポートを読むまでは、「(ゲーム)企画書」には難しい印象しか無かっ
たのですが、読み終えて、
『目からウロコがぼろぼろ落ちました!』
あまりに感動したので、メモ帳にポイントを書き写し、電車の中などでいつも
にらめっこしています。(笑
さて、基礎編があるということは、当然応用編を出すのですよね?
(とプレッシャーをかけてみる)
いやいや、冗談はともかくとして・・・
メルマガや他のコンテンツもとても楽しみにしています!
頑張ってください!!


小倉 さん

○印象に残ったレポート名
「ゲームプログラマの哲学」
「シンプル・プログラミング・スタイル」

○感想
 どちらもプログラムに関連する技術そのものではなく、
作業する上での考え方について書かれているのが逆に新鮮で、
他の書籍やWebサイトでは、なかなか得られない情報が
レポート化されていると感じました。
 何となく意識している事が、文章として書かれていることで、
より明確に認識することができました。
 「ゲームプログラマの哲学」では、プロ意識や仕事の質といった
仕事としてプログラムを行う上で、絶対に意識してくる事について
指摘してあり、プログラマとしての心構えを再認識させられました。

 「シンプル・プログラミング・スタイル」では、
いかに効率よく作業をしていくか、という点を、
達人プログラム環境の紹介を通して知ることができ、
非常に参考になりました。
 『nami2000』など、実際のツールを紹介しているのも、
実用的でした。

 また、“理想的なプログラムの考え方”で紹介されている理想は、
プログラマとしては、痛いほど分かっているのですが、
いつのまにか逸脱していることに、レポートを読んで改めて
実感し、その後のプログラミングでは、
“理想的なプログラムの考え方”の理想に沿うことを
強く意識するようになりました。


ハンニャ さん

「ゲーム企画書の描き方・基礎編」を購入しました。
僕は何から書いていいやらさっぱりな状態だったのですが
企画書を読む人へ印象づけることが重要だとわかりました。
これを読みながら考えをまとめていくと、自然と書きたくなります。


コミネト さん

Game Desing Tips 48を購入させていただきました。

以前に宮本茂論を購入させていただき、とても面白かったので、こちらも購入
させていただきました。
アマチュア製作者なのですが、疲れた時に読むなどして、気合に変えています。

私は特にインタラクティブ性というものに興味がありして、そのことに関する
いくつかの重要な事を指摘されていたので非常に勉強になりました。
インタラクティブ作ろうの章で、音声、視覚、触覚、これらを複合的にレスポ
ンスすることで、プレーヤーは感覚的な面白さを感じるとありますが、私もこ
れに非常に共感しまして、感覚のシンクロ感が人間の快感のスイッチではない
かと思っています、音楽にシンクロして画面が動き、文字が表示されることに
とても心地よさを感じますし、ゲームはこれに、こちらからの働きかけに対し
てのシンクロ感を提供できるという意味で優れたメディアだと思います。

それらの人間の欲望や快感などを収集分類すれば創作のヒントになるのではな
いかと考えていたのですが、やはりなかなか難しかったのですが、このGame De
sing Tips 48で沢山の指摘がされており大変参考になりました、購入してよかっ
たです。

▼ほかにもたくさんの方々から感想をいただいています!
(ありがとうありがとう!!)
http://www.n2gdl.net/voice/vioce.htm

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■ゲームのしくみ セットパッケージ情報
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 デベロッパーズセットを購入したシゲルさんより。

>印象に残ったのはズバリ全てです。どれもクオリティーが高く最高でした。


 現役のゲーム開発会社やゲーム専門学校にも買って頂いております!


 本屋には置いていない、サイトでだけ売っている情報です。
 「高密度の気づきがある!」と好評です。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist

●ゲームデザイナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論

●プランナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−

●デベロッパーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−
・プログラムの達人1〜3セット

 興味のある方は、以下のURLよりどうぞ。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist


それぞれ単品でも購入できます。
詳しくはサイトにて。

http://www.n2gdl.net/

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■これをヒントにゲームを作れ!! お薦め書籍
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 ゲーム開発で役に立つ本を紹介しています。
 以下のURLからどうぞ。

http://www.n2gdl.net/topics/topic003/index.html

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■バックナンバー
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 バックナンバーはこちらで見ることができます。

http://www.n2gdl.net/magazine/index.html

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 既に何度も読まれている方、ありがとうございます。感謝です!

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・ゲーム業界に入ってまだ日が浅いあなた
・人をハマらせるもの作りに興味のあるあなた

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心理学、NLPなどにも非常に興味がありますので、これらの「人をハマらせ
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 みなさんと一緒に紙面を作りたいと考えています。
 ご質問ご意見はお気軽に。

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事だと思っている話です。「あ、また出た。重要なのか」と思ってください。
 回数が多い話ほど、重要視しています。


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