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 ハマるしかけを作る! 8年目ゲームクリエイター・ムーブメント研究!
 第62回 「コスティキャンのゲーム論・解説(17)」 2005/06/27(mon)
△▲──────────────────── http://www.n2gdl.net/▲△

 ゲームのしくみの新田です。

 「スターウォーズ エピソード3」の先々行上映に行ってきましたっ!
(しかも夜中の2:00からのレイトショー)


 いやー面白かった!

 メカ+ファンタジー+殺陣+超能力+宇宙戦闘…監督はこれだけ自分が好き
なもの詰め込んだ作品を作れたら本望だろうなと思いました。

 こういうのを「ライフワーク」というんでしょうね。


 そしてお金かかってるなーと、一緒に行ったSTしんさんと一緒に話してま
した。物語のスケールもでかいけど、かかってるお金もでかいです。


 お金をつぎ込むだけつぎ込んで、すべてのディテールを徹底して作りこんだ
映像・世界観には脱帽ですね。

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■コスティキャンのゲーム論・解説(17)
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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:感情移入

 「プレイヤーをキャラクタに感情移入させるんだ!」とは創作においてよく
聞く言葉ですが、では感情移入とはなんでしょうか?


 いまいち、定義がはっきりしませんよね?


 ということで、辞書で調べると、



「他人の言葉や表情をもとに、その感情や態度を追体験すること。共感」


「自然や芸術作品などの対象に自分の感情を投射し一体化すること」



 とあります。
 なるほどなるほど。


 私なりにこれらを解釈すると、つまり感情移入とは、単純に



「他人や作品などに共感する」



ことだと思います。


 例えばですね、あなたの友達が料理をしていて、包丁でケガをした。


 そうすると、友達の苦悶の表情、「いてー!」という声、そして傷口から出
る血、そういう状況を見てあなたは一緒になって「痛そう!」と顔をゆがめる
わけです。


 これは友達が「感じているであろう感情」を、あなたが共感した状態ですね。


 人間は他人が感じているであろう感情を瞬時に読み取り、自分に投射して、
自然にその感情を自分の中で再現しようとします。
(これはおそらく本能に根ざした人間の機能ですね)



 ちょっと説明が難しくなりましたが、これが「感情移入」の状態です。



 もともと感情移入は、普段の生活ではごく自然に起こることですが、ゲーム
や映画などの作品は「虚構」であるため、感情移入が起こるように仕向けなけ
ればいけないんですね。

 共感できるように仕向けなければいけないんです。


 ですから、物語において「キャラクタを立てる」には、読み手がそのキャラ
クタに共感できるように行動させ、キャラクタに起こる問題がさも読み手の問
題であるかのようにするといいんですね。


 これはゲームでも同じことで、コスティキャンはこう言っています。


「ゲームでも同じことだ。プレーヤーが、自分が味方している勢力に感情移入
し、ゲーム内の出来事を自分自身の問題として感じるようになれば、ゲームは
感動的な体験になりうるのだ」


●感情移入のさせ方

 ゲームに感情移入させるために、「ゲーム内の出来事を自分自身の問題とし
て感じさせる」ことは、実はそんなに難しくはありません。


 なぜかというと、ゲームではほとんどの場合プレイヤーが主体であり、プレ
イによってゲームの進行が左右され、勝敗が決まるからです。

 プレイによって起こることは、はじめからプレイヤーの問題なのです。

(逆にプレイじゃないことによって起こることは、プレイヤーは自分の問題と
みなしづらい。例えばムービーなど)


 だからゲームはプレイするだけで、ほとんど自然に感情移入が促されます。


 特に、ゲームトークン(プレイヤーが操れる対象)が1つならば、プレイヤー
はそのキャラクタを育てたりすることに多くの時間と労力と注ぎ込むことに集
中しますから、自然と感情移入は強まります。


●プレイヤーの視点(焦点)をどこに置くか


 「しかし、そんなにのめり込めるゲームばかりじゃないよ!?」



 今のゲームで感情移入がしずらいゲームがあるとしたら、それはコスティキャ
ンが指摘するように、



「プレイヤーの視点(焦点)をどこに置くか」



が明確になっておらず、プレイヤーに混乱を与えているのかもしれません。


 「プレイヤーの視点(焦点)をどこに置くか」、これを明確にすることは感
情移入を促進する1つの手法だとコスティキャンは言います。


 多くの場合、ゲームの主人公であるキャラクタは「プレイヤー自身」であり、
プレイヤーの意志によって行動しますが、そのキャラクタが勝手な行動をした
り、勝手な解釈でゲームの重大な局面を進めてしまったら?


 おそらくプレイヤーは意識するにしろ、しないにしろ「これは自分ではない」
と思うことでしょう。

 そこで、プレイヤーはなにに感情移入すればいいのか分からなくなって混乱
してしまいます。


 これは今主流のストーリーテリングが軸になっているRPGによくありがち
な状況だと思います。


 自分が操るキャラクタが、一時操れる時間はあるが、実は自分ではない…。


 こういう場合は、ゲームの展開を左右する場面では、必ずプレイヤーの意志
を介入させるようにする必要があります。


 もっと固く作るなら、プレイヤーキャラクタに「喋らせない」で、選択(意
志決定)だけをさせることです。


 もしくは、あくまでプレイヤーは「観客」だと位置付けてしまい、進行のほ
とんどをシステム側で行なってしまうほうがいいでしょう。
(そうなるとゲーム独自の感情移入とはちょっと離れますが)


 コスティキャンは視点の混乱について、ボードゲームの例をあげています。


 ロンメル将軍の大部隊をシミュレーションするにあたって、パイロット1人
1人をどこに配属するかといったことから、個々の大隊における飲料水の補給
状況に至るまで、長時間かけてあらゆることを管理するゲームがあります。


 しかしこのゲームでは、プレイヤーはいったいどのような視点でゲームをす
ればいいのでしょう。


 全体的な戦略を考えつつも、かつ細かい管理も行なう。


 プレイヤーはいったいどちらの立場に感情移入すればいいのでしょうか?


「これが視点の混乱である。このゲームでは、個々の項目を詳細にシミュレー
トしようとするあまり、ある意味ではかえってシミュレーションの正確さを台
無しにしているのだ」


(ちなみにRTS(リアルタイムストラテジー)というジャンルでは、管理するこ
とを簡略化して指揮する側に視点を絞っています)


  →ゲームを分析するときには、「プレーヤーを感情移入させるには
   どうすればよいか。プレーヤーにとって重要なゲームトークンを1つ
   にする手だろうか。だとすれば、そのトークンに対する感情移入をより
   強化する方法は何か。また、ゲームトークンを1つに絞らないのなら、
   何に対して感情移入させるのか。それを強化する手は何か。

   このゲームにおいてプレーヤーは誰の立場になるのか。プレーヤーの
   視点をどこに置くように仕向けるのか」といったことを考えなければ
   ならない。

(続く)

コスティキャンのゲーム論はこちら。
http://www.n2gdl.net/topics/topic004/main.html


「なるほど」「よかった」の一言でもかまわないので、メルマガの感想文を書
いて送ってください。
あなたの一言が私の励みになり、よいメルマガを書こうという意欲になります。
ぜひあなたの声を聞かせてください!

 ↓ここからどうぞ↓
 http://www.n2gdl.net/reviewform/reviewform.html

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■編集後記
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 エピソード3のライナーノーツで、製作のリック・マッカラムがこんなこと
を書いています。


 「今後3年から5年、少なくても10年以内に映画製作のプロセスや映像関
係のビジネスは、個人のものになっていくと確信しています。(中略)ハリウッ
ドや既存の映画業界のシステムに頼ることなく、映画製作者が自由に表現でき
るツールが、史上初めて、それも突然に手に入れられるようになったからなん
です」


 これを見て私は、テクノロジーの発展で個人の表現はより手軽になり、しか
もインターネットで流通させて「生活」することすらできるので、今後個人の
独創性のある作品がどんどん市場に出回って、かなり面白いことになるぞ! 
と思いました。


 もちろん、ゲーム製作も同じですよ。

 いずれすごいオールインワン・ゲーム製作システムが出回って、個人製作で
手軽に「ゲームでの自己表現」が出来るようになるだろうと思います。
(私がそれを作る会社を立ち上げたいくらいです)


 25日に発表した「個人ゲーム開発で暮らすための5ステップ」は、私が実
践して実現した「個人製作で暮らすための足がかり」ですから、ぜひあなたに
も参考にしてもらって、今から「創作活動生活」への第一歩を踏み出して欲し
いと思っています。

http://www.n2gdl.net/bookshop/indy/index.html


 ということでまた次回!

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■お客さまの喜びの声!
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#Loppa さん

はじめまして、メルマガの愛読者の一人です。

単刀直入に感想だけ投稿させていただきます
とにかく感動しましたー! ありがとー!
ちょっと高いかなーと思って、今まで購入をためらっていたことを激しく後悔
しました

「もっと早く買っとくべきだった!」と。
すっごく役に立ちました。

どれも貴重なレポートなんですが、個人的には「宮本論」と「企画書の書き方」
が一番印象に残っています。

一番よかったのは、やっぱり「読みやすくて、わかりやすい」ってことですね。
まさに、中学生でも理解できる文章で明確な答えが示されていたので、一気に
読みきってから何度も読み返しました。

次のレポートも期待しています。がんばってください!


OYAJI さん

どのレポートも大変参考にさせていただいておりますが、
特にためになったのが「宮本茂論」です。
現在のゲームからだんだん薄れてきてしまっていた、
「単純なのに面白い」要素が分かりやすく説明され、
目からうろこです。
次回のレポートも是非購入したいと思っております。


hasegawa さん

こんにちは、はじめまして。
ゲーム企画書の書き方 -基礎編- を購入させていただきました。
内容はというと、非常に役に立つものばかりでとてもタメになりました!
わかりやすかったのも好印象です。
このレポートを読むまでは、「(ゲーム)企画書」には難しい印象しか無かっ
たのですが、読み終えて、
『目からウロコがぼろぼろ落ちました!』
あまりに感動したので、メモ帳にポイントを書き写し、電車の中などでいつも
にらめっこしています。(笑
さて、基礎編があるということは、当然応用編を出すのですよね?
(とプレッシャーをかけてみる)
いやいや、冗談はともかくとして・・・
メルマガや他のコンテンツもとても楽しみにしています!
頑張ってください!!


小倉 さん

○印象に残ったレポート名
「ゲームプログラマの哲学」
「シンプル・プログラミング・スタイル」

○感想
 どちらもプログラムに関連する技術そのものではなく、
作業する上での考え方について書かれているのが逆に新鮮で、
他の書籍やWebサイトでは、なかなか得られない情報が
レポート化されていると感じました。
 何となく意識している事が、文章として書かれていることで、
より明確に認識することができました。
 「ゲームプログラマの哲学」では、プロ意識や仕事の質といった
仕事としてプログラムを行う上で、絶対に意識してくる事について
指摘してあり、プログラマとしての心構えを再認識させられました。

 「シンプル・プログラミング・スタイル」では、
いかに効率よく作業をしていくか、という点を、
達人プログラム環境の紹介を通して知ることができ、
非常に参考になりました。
 『nami2000』など、実際のツールを紹介しているのも、
実用的でした。

 また、“理想的なプログラムの考え方”で紹介されている理想は、
プログラマとしては、痛いほど分かっているのですが、
いつのまにか逸脱していることに、レポートを読んで改めて
実感し、その後のプログラミングでは、
“理想的なプログラムの考え方”の理想に沿うことを
強く意識するようになりました。


ハンニャ さん

「ゲーム企画書の描き方・基礎編」を購入しました。
僕は何から書いていいやらさっぱりな状態だったのですが
企画書を読む人へ印象づけることが重要だとわかりました。
これを読みながら考えをまとめていくと、自然と書きたくなります。


コミネト さん

Game Desing Tips 48を購入させていただきました。

以前に宮本茂論を購入させていただき、とても面白かったので、こちらも購入
させていただきました。
アマチュア製作者なのですが、疲れた時に読むなどして、気合に変えています。

私は特にインタラクティブ性というものに興味がありして、そのことに関する
いくつかの重要な事を指摘されていたので非常に勉強になりました。
インタラクティブ作ろうの章で、音声、視覚、触覚、これらを複合的にレスポ
ンスすることで、プレーヤーは感覚的な面白さを感じるとありますが、私もこ
れに非常に共感しまして、感覚のシンクロ感が人間の快感のスイッチではない
かと思っています、音楽にシンクロして画面が動き、文字が表示されることに
とても心地よさを感じますし、ゲームはこれに、こちらからの働きかけに対し
てのシンクロ感を提供できるという意味で優れたメディアだと思います。

それらの人間の欲望や快感などを収集分類すれば創作のヒントになるのではな
いかと考えていたのですが、やはりなかなか難しかったのですが、このGame De
sing Tips 48で沢山の指摘がされており大変参考になりました、購入してよかっ
たです。

▼ほかにもたくさんの方々から感想をいただいています!
(ありがとうありがとう!!)
http://www.n2gdl.net/voice/vioce.htm

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■ゲームのしくみ セットパッケージ情報
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 デベロッパーズセットを購入したシゲルさんより。

>印象に残ったのはズバリ全てです。どれもクオリティーが高く最高でした。


 現役のゲーム開発会社やゲーム専門学校にも買って頂いております!


 本屋には置いていない、サイトでだけ売っている情報です。
 「高密度の気づきがある!」と好評です。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist

●ゲームデザイナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論

●プランナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−

●デベロッパーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−
・プログラムの達人1〜3セット

 興味のある方は、以下のURLよりどうぞ。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist


それぞれ単品でも購入できます。
詳しくはサイトにて。

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■これをヒントにゲームを作れ!! お薦め書籍
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 ゲーム開発で役に立つ本を紹介しています。
 以下のURLからどうぞ。

http://www.n2gdl.net/topics/topic003/index.html

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 バックナンバーはこちらで見ることができます。

http://www.n2gdl.net/magazine/index.html

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 新しく登録して頂いた方、はじめまして。
 既に何度も読まれている方、ありがとうございます。感謝です!

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心理学、NLPなどにも非常に興味がありますので、これらの「人をハマらせ
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