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 ハマるしかけを作る! 8年目ゲームクリエイター・ムーブメント研究!
 第65回 「コスティキャンのゲーム論・解説(20)」 2005/07/19(tue)
△▲──────────────────── http://www.n2gdl.net/▲△

 ゲームのしくみの新田です。

 すみません! 発行が一日遅れました!

 たて込んだ用事があって、いそいそと動いておりました…。


 と、いいつつ、セコンドメソッドがまず1つ校了。
 お求めやすい「濃密TIPSレポート」の規模でまとめました。
 すでにPDF化されてます。
(発売時期はまだ未定)

▼濃密TIPSレポート
http://www.n2gdl.net/bookshop/tips/index.html

 ところで「エモーショナル(感情)ゲームデザイン」って、初耳ですよね?

 これはゲームのしくみのコンセプトとなるゲームデザインの考え方で、


「ゲームの面白さはすべて感情を動かされるところにある」


 という考えから端を発しています。

 ゲームでの興奮も、緊張も、笑いも、驚きも…すべて、根はひとつ。
 そして、その考え方は非常にシンプル。


 複雑なゲームデザイン理論などいりません。
 発想法も、簡単です。誰でもできます(視点を変えるだけで…)。
 しかも効果はすごく大きい!
 わかりやすい!(誰もが体験しているから)

 そしてゲームデザインだけでなく、どんなビジネスでも応用できる!


 ここでちょっとだけ、説明してます。
http://www.n2gdl.net/topics/topic002/002_02.htm

(ずっと前に書いた記事ですが、再度紹介するくらいなので、深い意味がある
んですよ)


 エモーショナルゲームデザインの発想法は、「濃密TIPSレポート」にありま
すので、興味のある方だけどうぞ。
http://www.n2gdl.net/bookshop/tips/index.html

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■コスティキャンのゲーム論・解説(20)
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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:劇的な盛り上がり

 「劇的な盛り上がり」。

 これはゲームのしくみでも、かなり注目している項目です。

 というより、


「これがなければそのゲームのヒットはない!」


 それくらい重要に考えています。


 水準以上の「劇的な盛り上がり」を実現できれば、そのゲームはほぼ成功と
言えます。

 思い浮かぶのは、「風来のシレン」のモンスターハウス。

 あ、この説明はしなくてもわかりますよね?
(すごいしかけですよね…)

 それにしてもこういう項目をちゃんと出してくるコスティキャンは偉大です。


●つまらないゲームと面白いゲームの違い

 コスティキャンは、

「ネビュラ賞を受賞した作家Pat Murphyによると、小説のプロットを作るコツ
は『緊迫感を高め続けること』にあるそうだ。つまり、ストーリーが進むにつ
れて話をどんどん盛り上げてゆき、クライマックスシーンまで読者をぐいぐい
引っ張って離さないというわけだ」

 と言います。


 ゲームでも同じです。


 小説のプロットを作るコツと同じように、ゲームをどんどん盛り上げていか
なければ、プレイヤーは平凡な毎日をゲームの中に感じ出します。


 つまり、劇的な変化がない状況に、飽き飽きしてくるのです。

 ゲームは非日常的な感情の動きを与えてくれるメディアだからこそ、大勢に
とっての存在意義が生まれますから、恒常的、日常的ではだめなんです。


 ゲームをプレイするのはそんな状況を味わいたいからではないですよね?


 だからこそ、劇的な盛り上がりが必要です。

 では、それはどうやって作ればいいんでしょうか?


 コスティキャンは作り方の1つを、野球を例にあげて説明します。


「あなたがヤンキーズのファンだとしよう。もちろん、あなたはヤンキーズの
勝利を望んでいるだろう。しかし、球場に駆けつけたあなたは、ヤンキーズが
第1イニングから7点差でリードし、そのまま21対2というぶっちぎり大差
で勝つ、そんな試合を見たいだろうか。そりゃヤンキーズが負けるよりはマシ
だろうが、こんな試合は面白くないと思うに違いない。

 それに対して、最終回の終了間際、もはやこれまでかと思われたとき、ヤン
キーズが逆転サヨナラ満塁ホームランをかっ飛ばしてくれたなら、きっとあな
たは興奮と歓喜のあまり座席から飛び上がって歓声を送ってしまうことだろう。
 かように、緊迫感はゲームを面白くしてくれるのである」


 そうです。
 常に、ギリギリの線の緊迫感。
 死の淵、敗北の寸前、どちらが勝つかわからない状態。

 逆転が起こる状況での奇蹟。


 シューティングゲームで、ボンバーが無限に使えたとしたら?

 RPGで、いきなりレベル99だったら?

 格闘ゲームで、自分のHPが全然減らないとしたら?


 なんの盛り上がりもないですよね?


 ボンバーに限りがあるからこそ、使う場所をやりくりして、慎重に修羅場を
抜ける算段をし、ギリギリで抜けるから面白い。


 レベル1からスタートして、徐々に強力な魔法や武器が使えるようになるか
らキャラクタに愛着が湧くし、もう少しレベルが必要な敵がいるからこそ、ギ
リギリの戦闘が発生する。


 相手とのプレイ技術が拮抗する状況が生まれるからこそ、どちらが勝つかわ
からないドキドキのプレイが生まれ、格闘ゲームファンは熱くなる。



 もちろんこれらは、毎回ギリギリの展開が生まれるかというと、そうではあ
りません。


 しかし作る方法はあります。


 ヒントは、「風来のシレン」です。

 「風来のシレン」では「モンスターハウス」というイベントによって、意図
的に劇的な盛り上がりの状況が作られます。


 こんなふうにうまく「劇的な盛り上がりを生むシステム」を作ることができ
れば素晴らしいと思いません?


●映画の「流れ」

 実はこういった「劇的な盛り上がり」作ることは、映画でも小説でも、バラエ
ティ番組でも、エンタテインメントならなんでも同じなんです。


 いい作品では「劇的な盛り上がり」までの流れがキッチリ作られています。


 ハリウッド映画では、シナリオのセオリーがあり、ほとんどの映画が、


「はじめの5分でインパクトのある展開を見せ、観客のこころをつかめ」

「中盤では主人公が乗り越えるべき障害を明確にし、緊張と期待を高めろ」

「結末では解決によって緊張をゆるめ、完全な統一(ゲシュタルト)を見せて
観客を満足させろ」


 という3幕で構成されています。

 この「流れ」は、今や観客を徐々に盛り上げていくためにはずせないものに
なっています。
 そしてこの流れは、他のエンタテインメントでも応用が可能です。


 こういった緊迫感を続かせる流れ、構成、システムを用意することによって、
お客さんを満足のいく状況に持っていくことができるわけなんですね。


●テトリス

 テトリスのような規模の小さなゲームでさえも、この「流れ」があります。


 テトリスはゲームスタート後、ブロックの落ちるスピードがだんだん早くなっ
ていきますね。

 そしてかなり早くなり緊張感を高めたあとで、一端スピードが遅くなる。

 ここで安堵させているわけです。


 そしてその後は猛烈なスピードになるまで、右肩上がりでスピードが上がっ
ていき、緊張感がギリギリの線まで盛り上がるようになっていますね。


 テトリスは映画のように終わりがありませんから、最後はこのように緊張が
延々と続くような構成になっているわけです。


  →ゲームを分析するときには、「このゲームを盛り上げるにはどう
   すればよいか」という点について考えなければならない。

(続く)

コスティキャンのゲーム論はこちら。
http://www.n2gdl.net/topics/topic004/main.html


「なるほど」「よかった」の一言でもかまわないので、メルマガの感想文を書
いて送ってください。
あなたの一言が私の励みになり、よいメルマガを書こうという意欲になります。
ぜひあなたの声を聞かせてください!

 ↓ここからどうぞ↓
 http://www.n2gdl.net/reviewform/reviewform.html

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■編集後記
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 「5ステップ」の感想が続々届いているので、ご紹介しますね。

−−−−−−−−
高瀬さん

現在個人でゲーム制作をするために、今「5つのステップ」片手にWEB制作
をしています。

現在出しているメルマガも新しいサイトに合わせてリニューアルしようと考え
ています。

個人でゲームを作るとなると、作業が大変だ、とか結局続かなくて……とか問
題ばかり気になってしまいますが違うんですね!

流れを作ることなんですね! 読んでいて大声をあげてしまいました。

濃厚3チップは現在お金が無いので買えませんが(汗、ゲーム制作に役立ちそ
うなのでいつかは買おうかと思っています。

これからも貴重な情報をよろしくお願いします。
−−−−−−−−

 そうなんです、流れ! 流れがとても大事なんです。

 ゲーム製作でも、ウェブ製作でも、果てやビジネスでも。

 流れ! これが大事です。


 うまくいかないことって、問題を単体で考えていることが多いんです。


 そうじゃなくて、すべては流れの中にあり、商売をうまくいかせたり、ゲー
ムの面白さを実現する順番はだいたい決まっているんですね。


 一度それを知れば、自然に、次はこうなりさらに次はこうなる、というのが
考えなくても想像できるようになっていくと思います。


 「5ステップ」は、「自分の好きなものを作りながら暮らす生活」を実現す
るまでの流れを、みなさんに知っていただくためのものだったりするんです。
→ http://www.n2gdl.net/bookshop/indy/index.html


 ということでまた次回!

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■お客さまの喜びの声!
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#Loppa さん

はじめまして、メルマガの愛読者の一人です。

単刀直入に感想だけ投稿させていただきます
とにかく感動しましたー! ありがとー!
ちょっと高いかなーと思って、今まで購入をためらっていたことを激しく後悔
しました

「もっと早く買っとくべきだった!」と。
すっごく役に立ちました。

どれも貴重なレポートなんですが、個人的には「宮本論」と「企画書の書き方」
が一番印象に残っています。

一番よかったのは、やっぱり「読みやすくて、わかりやすい」ってことですね。
まさに、中学生でも理解できる文章で明確な答えが示されていたので、一気に
読みきってから何度も読み返しました。

次のレポートも期待しています。がんばってください!


OYAJI さん

どのレポートも大変参考にさせていただいておりますが、
特にためになったのが「宮本茂論」です。
現在のゲームからだんだん薄れてきてしまっていた、
「単純なのに面白い」要素が分かりやすく説明され、
目からうろこです。
次回のレポートも是非購入したいと思っております。


hasegawa さん

こんにちは、はじめまして。
ゲーム企画書の書き方 -基礎編- を購入させていただきました。
内容はというと、非常に役に立つものばかりでとてもタメになりました!
わかりやすかったのも好印象です。
このレポートを読むまでは、「(ゲーム)企画書」には難しい印象しか無かっ
たのですが、読み終えて、
『目からウロコがぼろぼろ落ちました!』
あまりに感動したので、メモ帳にポイントを書き写し、電車の中などでいつも
にらめっこしています。(笑
さて、基礎編があるということは、当然応用編を出すのですよね?
(とプレッシャーをかけてみる)
いやいや、冗談はともかくとして・・・
メルマガや他のコンテンツもとても楽しみにしています!
頑張ってください!!


小倉 さん

○印象に残ったレポート名
「ゲームプログラマの哲学」
「シンプル・プログラミング・スタイル」

○感想
 どちらもプログラムに関連する技術そのものではなく、
作業する上での考え方について書かれているのが逆に新鮮で、
他の書籍やWebサイトでは、なかなか得られない情報が
レポート化されていると感じました。
 何となく意識している事が、文章として書かれていることで、
より明確に認識することができました。
 「ゲームプログラマの哲学」では、プロ意識や仕事の質といった
仕事としてプログラムを行う上で、絶対に意識してくる事について
指摘してあり、プログラマとしての心構えを再認識させられました。

 「シンプル・プログラミング・スタイル」では、
いかに効率よく作業をしていくか、という点を、
達人プログラム環境の紹介を通して知ることができ、
非常に参考になりました。
 『nami2000』など、実際のツールを紹介しているのも、
実用的でした。

 また、“理想的なプログラムの考え方”で紹介されている理想は、
プログラマとしては、痛いほど分かっているのですが、
いつのまにか逸脱していることに、レポートを読んで改めて
実感し、その後のプログラミングでは、
“理想的なプログラムの考え方”の理想に沿うことを
強く意識するようになりました。


ハンニャ さん

「ゲーム企画書の描き方・基礎編」を購入しました。
僕は何から書いていいやらさっぱりな状態だったのですが
企画書を読む人へ印象づけることが重要だとわかりました。
これを読みながら考えをまとめていくと、自然と書きたくなります。


コミネト さん

Game Desing Tips 48を購入させていただきました。

以前に宮本茂論を購入させていただき、とても面白かったので、こちらも購入
させていただきました。
アマチュア製作者なのですが、疲れた時に読むなどして、気合に変えています。

私は特にインタラクティブ性というものに興味がありして、そのことに関する
いくつかの重要な事を指摘されていたので非常に勉強になりました。
インタラクティブ作ろうの章で、音声、視覚、触覚、これらを複合的にレスポ
ンスすることで、プレーヤーは感覚的な面白さを感じるとありますが、私もこ
れに非常に共感しまして、感覚のシンクロ感が人間の快感のスイッチではない
かと思っています、音楽にシンクロして画面が動き、文字が表示されることに
とても心地よさを感じますし、ゲームはこれに、こちらからの働きかけに対し
てのシンクロ感を提供できるという意味で優れたメディアだと思います。

それらの人間の欲望や快感などを収集分類すれば創作のヒントになるのではな
いかと考えていたのですが、やはりなかなか難しかったのですが、このGame De
sing Tips 48で沢山の指摘がされており大変参考になりました、購入してよかっ
たです。

▼ほかにもたくさんの方々から感想をいただいています!
(ありがとうありがとう!!)
http://www.n2gdl.net/voice/vioce.htm

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■ゲームのしくみ セットパッケージ情報
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 デベロッパーズセットを購入したシゲルさんより。

>印象に残ったのはズバリ全てです。どれもクオリティーが高く最高でした。


 現役のゲーム開発会社やゲーム専門学校にも買って頂いております!


 本屋には置いていない、サイトでだけ売っている情報です。
 「高密度の気づきがある!」と好評です。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist

●ゲームデザイナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論

●プランナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−

●デベロッパーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−
・プログラムの達人1〜3セット

 興味のある方は、以下のURLよりどうぞ。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist


それぞれ単品でも購入できます。
詳しくはサイトにて。

http://www.n2gdl.net/

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■これをヒントにゲームを作れ!! お薦め書籍
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 ゲーム開発で役に立つ本を紹介しています。
 以下のURLからどうぞ。

http://www.n2gdl.net/topics/topic003/index.html

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■バックナンバー
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 バックナンバーはこちらで見ることができます。

http://www.n2gdl.net/magazine/index.html

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■このメルマガについて
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 新しく登録して頂いた方、はじめまして。
 既に何度も読まれている方、ありがとうございます。感謝です!

 ゲームのしくみの新田です。

 このメルマガはゲーム業界8年目の私が、

・これからゲーム業界に入ろうとしているあなた
・ゲーム業界に入ってまだ日が浅いあなた
・人をハマらせるもの作りに興味のあるあなた

に向けて、情報発信することを目的として発行しています。

 また、ムーブメントつながりでビジネスモデル構築やマーケティング理論、
心理学、NLPなどにも非常に興味がありますので、これらの「人をハマらせ
る」技術も、あわせて発信していきたいと思います。

 どうぞ宜しくお願いします!


 みなさんと一緒に紙面を作りたいと考えています。
 ご質問ご意見はお気軽に。

 フォームから送れます。「感想」「意見」などをタイトルにしてどうぞ。
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内容について:

・くどいくらいに同じ話が出てくることがありますが、それはそれだけ私が大
事だと思っている話です。「あ、また出た。重要なのか」と思ってください。
 回数が多い話ほど、重要視しています。


・「当然だ」「それは知ってる」と思うこともあると思います。しかし大事な
のはどう実践に活かすか? ということです。


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