ノベルゲーム「Collage」製作者のコミネトさんが、ゲームについて語ります。

■コミネトのノベルゲームノート

第1回 『ごあいさつと、あるノベルゲーム製作者の記録』
第2回 『ノベルゲーム製作プログラムの壁』
第3回 『ストーリーメイキング』
第4回 『ストーリーメイキング2』

第5回 『ストーリーメイキング3』
第6回 『システムメイキング』
第7回 『今までにないノベルゲームを求めて1』
第8回 『今までにないノベルゲームを求めて2』

第4回 『ストーリー・メイキング2』
ここでは実際に私がゲームのストーリーを作るとしたらどんな感じになるかをシュミレーションしてみたいと思います。

正規ルートのシナリオを書くという感じで書いてみます。


●企画

ホラーにしましょう。

●ストーリーに必要な要素

ストーリーのを作りために必要ないくつかの要素を用意してみます。

1、目的
2、障害
3、タイムリミット

それぞれについてちょっと説明をしてみたいと思います。

 目的

主人公が行動するための動機となるものです。それを達成しないと主人公がとんでもない目にあってしまうというものですね。つまり主人公から何かが奪われてしますわけです。名誉、恋人、命、あるいはそれら全部、大切であれば大切であるほどいいです。

 障害

主人王に待ち受ける困難です。これがなければまさにお話になりません。これは劇中にいくつか存在します。初めは小さいが徐々にハードルが大きくなる感じがいいでしょう。最後のハードルはとても乗り越えられなさそうなものであればあるほどいいと思います。しかしながらそれを主人公は知恵と英知と勇気でもって乗り越えるわけです。

 タイムリミット

これはとても大切です。しかし忘れがちではないでしょうか。これは物語を盛り上げるとても重要なギミックです。これがあることによってサスペンス間がぐっとアップします。

サウンドノベル“街”や“弟切草”でも有名な、脚本家の長坂秀佳さんは「爆弾の長坂」と呼ばれてたそうです。この爆弾とは時限爆弾のことです。つまり早く事件を解決しないとこの爆弾が爆発してしまう、というわけです。これは当然タイムリミットを意識してのことでしょう。


●大筋を書いてみる

とりあえず主人公とヒロインの名前を考えておきましょう。

主人公は鈴木太郎、ヒロインは佐藤圭子

なんかベタですね〜(笑)

しかし凝り過ぎるとホストとキャバクラ嬢のデートみたいになってしまうので気をつけてください。

ではまず主人公の目的を考えます。

目的はどこかからの脱出にしてみましょう。脱出しないと主人公は死んでしまう、そればかりか恋人も死んでしまうといった感じでどうでしょうか。

主人公たちを妨害する連中はどうしましょう、ゾンビなどでもいいですが、ちょっとありふれているので、ロボットにして見ます。暴走したロボットです。

では考え付いた情報だけで書いてみましょう。分かりやすいように箇条書きにします。

○太郎と圭子はどこかに閉じ込められていた
○ロボットたちが襲ってくる
○二人はロボットを倒し、その場から脱出する必要がある
○幾多の困難が二人を待ち受ける
○二人は無事、脱出することが出来た
○END

う〜ん、まったくものたりませんね〜。

ではこれにちょっとずつ付け加えて行きましょう。

とりあえず、目的をもう一個増やしてみましょう。

こんなのはどうでしょう、

太郎は施設内のメインコンピューターを停止させる必要があることを知る。

ではもしメインコンピューターを停止させられなかったら、なにを失うかを考えてみます。

ものすごく悲惨になるものがいいですね。ではこうしましょう。

メインコンピューターを破壊しないとロボットたちが氾濫を起こして、街の人間たちを惨殺し始めるようにプログラムされている。

では場所の設定はロボットの研究施設としましょう。

では続いてタイムリミットの設定をします。

時間制限はそんなに長くないほうがいいでしょう、そのほうが緊迫感が出ます。では夜明けまでとします。

ではなぜ夜明けになるとどうなってしまうか?

こんなのはどうでしょう。

夜が明け、太陽が昇ると太陽発電が稼動し、惨殺ロボットたちに電力が供給され彼らが起きてしまう。

まあ設定なんていうのは話の都合に合わせてあとでいくらでも変更します

タイムリミットは大きなもののほかに、シーン毎に緊迫した物を設定するのがいいですね。

では追加します。追加部分は ●オレンジ で示します。

○太郎と圭子はロボット研究施設に閉じ込められていた
○ロボットたちが襲ってくる
○二人はロボットを倒し、その場から脱出する必要がある
○幾多の困難が二人を待ち受ける
●夜明けまでにメインコンピューターを破壊しないと大変なことが起こることが分かる
●太陽電池が稼動して、殺戮ロボットに電気が供給されてしまうのだ
●二人はメインコンピューターを破壊することを決意する
●幾多の困難が二人を待ち受ける
●二人はメインコンピューターを破壊する

○二人は無事、脱出することが出来た
○END

だいぶ出来て来ましたが、まだまだ量的には足りません。

たとえば。

○幾多の困難が二人を待ち受ける
○夜明けまでにメインコンピューターを破壊しないと大変なことが起こることが分かる

なんかいきなり破壊する必要を知っていますね。もちろんここになにかイベントを入れる必要があります。どうしましょう?どこかの部屋でそのことを書いたか見切れを拾ったことにしましょうか?しかしもうちょっと凝ったものがいいですね、まあ、とりあえずここは保留としておきましょう。

ではここからは、障害を追加していきます。

ここがミソですが、ラストシーンから追加します。そうすることによって伏線の発想を得やすくなります。

ではラストの部分を抜き出してみます

○二人は無事、脱出することが出来た
○END

ではここで、障害を追加します。

○二人は無事、脱出することが出来た
●すると突然圭子が太郎の首を絞め始める
○END

いきなりですね、何で首なんか絞めちゃうんでしょう?
もちろんそれはこれから考える必要はあります。こんなのはどうでしょう。

○二人は無事、脱出することが出来た
○すると突然圭子が太郎の首を絞め始める

●彼女は圭子ではなかった、物まねロボットっとだったのだ。
●物まねロボットがどこかで圭子とすり替わったのだ
○END

まあ、このままだと唐突なので、どこかで伏線を入れておく必要があります。ロボットには圭子とすり替わるチャンスを与えておく必要がありますね。つまり主人公と別れ別れになるシーンが必要になるわけです

それと、このままラストを迎える訳にもいかないので、続きを考えてみます。

ではそれらを追加してみましょう。

●太郎と圭子はロボット施設を見学していた
●二人は物まねロボットを見て喜んだ
●突然ある事件が起きた

○太郎と圭子はロボット研究施設に閉じ込められていた
○ロボットたちが襲ってくる
○二人はロボットを倒し、その場から脱出する必要がある
○幾多の困難が二人を待ち受ける
○夜明けまでにメインコンピューターを破壊しないと大変なことが起こることが分かる
○太陽電池が稼動して、殺戮ロボットに電気が供給されてしまうのだ
○二人はメインコンピューターを破壊することを決意する
○幾多の困難が二人を待ち受ける
○太郎と圭子はメインコンピューターを破壊する
●二人は別れ別れになってしまった
●再び二人は再会した

○二人は無事、脱出することが出来た
○すると突然圭子が太郎の首を絞め始める
○彼女は圭子ではなかった、物まねロボットっとだったのだ。
○物まねロボットがどこかで圭子とすり替わったのだ
●太郎は何とか物まねロボットから逃れた
●圭子はまだ施設の中に取り残されている
●太郎は圭子を探して再び施設の中に
●しかしながら圭子は生きているかどうかも分からない
●圭子を探すがなかなか見つからない
●早くしないとタイムリミットが来てしまう
●やっと圭子を見つける
●太郎と圭子が施設から脱出する

○END


かなりさっきより緊迫した感じになってきたのではないでしょうか。

物まねロボットというのはなかなか面白いアイテムです、せっかくなのでこれを使って、もうひと障害追加して見ましょう

○二人は無事、脱出することが出来た
○すると突然圭子が太郎の首を絞め始める
○彼女は圭子ではなかった、物まねロボットっとだったのだ。
○物まねロボットがどこかで圭子とすり替わったのだ
○太郎は何とか物まねロボットから逃れた
●ロボットは逃げ去ってしまった
○圭子はまだ施設の中に取り残されている
○太郎は圭子を探して再び施設の中に
○しかしながら圭子は生きているかどうかも分からない
○圭子を探すがなかなか見つからない
○早くしないとタイムリミットが来てしまう
○やっと圭子を見つける
●太郎と圭子が施設の出口に向かう
●しかし出口付近でさっきの物まねロボットと遭遇する
●物まねロボットは圭子に襲い掛かり揉み合いになる
●そのうちどっちが本物か分からなくなる
●二人の圭子はお互いに自分が本物だと証言する
●太郎は悩む
●そして一人を本物だと決めてもう一人を倒そうとする
●その瞬間、あるきっかけで実はもう一人の方が本物であると分かる
●物まねロボットを倒す

○太郎と圭子が施設から脱出する
○END


え〜と、ベタですか? まあいいじゃないですか(笑)

結構緊迫感が出てきたと思います。もちろんまだまだいろいろ考えることはあります。

たとえば、太郎とロボットとの格闘シーン、ひと捻りほしいものです。圭子はどのような状況で発見され、どうやって救出されるか。太郎はどうやって圭子とロボットを見分けるか。

これらはちゃんと伏線を張っておく必要があります。このようにシュチエーションだけ決まっていて、伏線が決まっていないものはカードなどに書いて管理するのもいいでしょう。

ではどんどんいきましょう。

ちょっと気になる部分を抜き出してみました。

○幾多の困難が二人を待ち受ける
○太郎と圭子はメインコンピューターを破壊する

●二人は別れ別れになってしまった
●再び二人は再会した


青く表示した部分、この部分はもうちょっと工夫を凝らす必要がありますね。

こんな感じはどうでしょう。

圭子は足を負傷してしまった。そのために太郎は一人で中央コンピューターに向かうことになった

ではこの線で改訂してみます。

●圭子は足を負傷した
●太郎は一人で中央コンピューターに向かうことになった
●そのあいだ、圭子はある場所で隠れて帰りを待つことになった
●幾多の困難が太郎を待ち受ける
●太郎はメインコンピューターを破壊する
●太郎は圭子の元に戻ってくる


二人が分かれる合理的理由を作る事が出来ました。

さーて、なぜ圭子は足を負傷したことにしましょうか、ある場所ってどこ?いろいろ考えることが増えてきました。たとえば太郎を守るためにってのはどうでしょう。まあいろいろ考えてみます。面白いイベントが出来るかもしれません。


●キャラクターのバックグラウンドを書いてみる

ここでちょっと、物まねロボットについて掘り下げてみましょう。

こういうキャラクターはなかなか面白いのでいろいろ背景をつけてみたほうがいいでしょう。

こなのはどうでしょう。

ロボットは太郎たちを案内する、とてもかわいいコンパニオンロボットだった、ところが再びあったときは残虐な殺人ロボットに変身していた。

かわいいロボットが殺戮者になるというギャップ感がいいですね。

ではこういうのはどうでしょう。

ロボットは、ロボット自身を設計した博士を監禁した。ロボットは博士に父親に近い感情を持っており、世界を征服して博士からほめてもらおうとしたのだ。

ロボットがこのような人間的な感情を持つことにちょっと怖さがあると思います。

しかし上でも言いましたが設定なんていうのは物語を盛り上げるための装置でしかないので、都合によってどんどん作り変えます。

うむ、ちょっとばかり恐ろしい設定を思いついてしまいました。

博士は一度、ロボットが居ないところで自殺未遂を起こした。しかしそれは失敗する。ロボットは二度とこのようなことがないように、博士の脳に手術をしてしまったのだ。

うむ〜こわいですね〜ではせっかくなのでこの博士をどこかで利用できないでしょうか?

太郎はこの博士からメインコンピューターの破壊の情報をを聞きだすというのはどうでしょう。

博士は脳を手術されていて自分の意思では話が出来なかった。しかしあるきっかけで、一瞬だけ自我を取り戻し、重要な情報を与えてくれた。それはメインコンピューターを破壊しないと大変なことになるということだった。

ではどのような方法で自我を取り戻すのがいいでしょうね。

この部分はかなりドラマチックな展開になると思いますのであとでじっくり考えてみます。

考えたキャラクターやアイテムはなにかの伏線や驚きに使えるのではないかと、とことんまで考えてみるのがいいでしょう。

博士は言った。
「これ、爆弾って設定なんだけど、展開伏線しだいでは別にどんな設定でもいいんだ、面白いほうが重要だよね」


●大筋を書いてみる2

では、それらをすべて投入してみたいと思います

○太郎と圭子はロボット施設を見学していた
●二人は物まねロボットを見て喜んだ
●二人をかわいいコンパニオンロボットが案内してくれた

○突然ある事件が起きた
○太郎と圭子はロボット研究施設に閉じ込められていた
○ロボットたちが襲ってくる
○二人はロボットを倒し、その場から脱出する必要がある
○幾多の困難が二人を待ち受ける
●何とかロボットから逃げ出す
●博士を発見する
●しかし博士を脳を改造され自我を失っていた
●あるきっかけで博士は自我を取り戻す
●博士から、夜明けまでにメインコンピューターを破壊する必要があること知る
●太陽電池が稼動して、殺戮ロボットに電気が供給されてしまうのだ
○二人はメインコンピューターを破壊することを決意する
●あのかわいいコンパニオンロボットと出会う
●突然そのロボットが襲い掛かってくる
●圭子は自分を犠牲にして太郎を守った

○圭子は足を負傷した
○太郎は一人で中央コンピューターに向かうことになった
○そのあいだ、圭子はある場所で隠れて帰りを待つことになった
●太郎を執拗に追う一台のロボットががいた。
●そいつは人間に成りすますことが出来る物まねロボットだったのだ!
●そいつはある人物に化けて太郎騙そうとする
●寸でのところでその嘘に気が付き難を逃れる

○太郎はメインコンピューターを破壊する
○太郎は圭子の元に戻ってくる
○二人は無事、脱出することが出来た
○すると突然圭子が太郎の首を絞め始める
○彼女は圭子ではなかった、物まねロボットっとだったのだ。
○物まねロボットがどこかで圭子とすり替わったのだ
○太郎は何とか物まねロボットから逃れた
○ロボットは逃げ去ってしまった
○圭子はまだ施設の中に取り残されている
○太郎は圭子を探して再び施設の中に
○しかしながら圭子は生きているかどうかも分からない
○圭子を探すがなかなか見つからない
○早くしないとタイムリミットが来てしまう
○やっと圭子を見つける
○太郎と圭子が施設の出口に向かう
○しかし出口付近でさっきの物まねロボットと遭遇する
○物まねロボットは圭子に襲い掛かり揉み合いになる
○そのうちどっちが本物か分からなくなる
○二人の圭子はお互いに自分が本物だと証言する
○太郎は悩む
○そして一人を本物だと決めてもう一人を倒そうとする
○その瞬間、あるきっかけで実はもう一人の方が本物であると分かる
○物まねロボットを倒す
○太郎と圭子が施設から脱出する
○END


結構な量になりましたね、しかしまだまだ考えないといけないことは多いです。

最後に一点だけ変更します。

○太郎と圭子はロボット施設を見学していた
○二人は物まねロボットを見て喜んだ


博士はロボットに脳の手術をされた訳ですから、何日か行方不明になっている時期が必要です。

ですので主人公とキャラクターはこう設定します。

太郎は新人捜査官だった。あるロボット施設で博士が失踪した件に関しての捜査をするために太郎の上司の圭子と共に捜査をすることになった。

ではこの線で改訂してみましょう。

○太郎と圭子は博士の捜査のためにロボット施設を訪れた
○二人は物まねロボットを見て技術の高さに感心した

設定というのはすべて伏線のための装置に過ぎません。主人公にしてもそうです、性格だろうが立場だろうが性別だろうがどんどん物語に合わせてどんどん変更して行きましょう。


(続く)
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